瓶具黒墨の映画はプログラムがオモシロイ!

ビング・クロスビー映画のプログラムを中心に関連グッズをアップしていきます

【楽譜】フレッド・アステア『艦隊を追って』

f:id:derbinglejp:20200808111843j:plain

 「映画之友・8月號・映画主題歌楽譜・NO・21」(昭和11年

雑誌「映画之友」の中綴じ付録ですが、ヤフオクで購入した時には、これのみ

その分安く、嵩張らないとイイこと尽くし

 

さて、戦前モノなので横書きは右から左へ

「歌に合せて踊らうよ」

主演は、アーステア

アステーアならたまに見かけますが、アーはなんだか間延びしてる感じ

 

訳詞をするのは、昔の映画字幕は常にこのヒトだった清水俊二

少し起してみると

♪ 苦労あるとて 月のある間は

  愛人と二人 唄へや踊れ

 鳴るヴァイオリン 流れゆくメロディ

 踊れるうちに 唄へや踊れ

 

と、意味は通るんだけれど

メロディが全然浮かんでこない

これだけでは、口ずさめないと

楽譜のある中面をf:id:derbinglejp:20200808111854j:plain

 

f:id:derbinglejp:20200808111912j:plain

ついでにCDかけて英詞付きの楽譜見て

ようやく

あ~こうか

英語と比較すると、訳としては完璧じゃないでしょうか

でも、歌えなーい

日本語が乗りやすい曲、乗りにくい曲ってあるかもしれません

 

訳詞中、気になるのは

「愛人」と書いて「きみ」と読ませている部分

映画にも歌にも不倫の要素なし

ということは、昔の「愛人」は、愛するヒト、愛しい人ってくらいで

ネガティブ要素はないのか?

チョロっと調べると、太宰が1947年に斜陽を書くまでは良い意味だったとのこと

ナルホド

f:id:derbinglejp:20200808111926j:plain

裏面には、「国産」なのに外国の令夫人をイメージガールにした香水の広告

コピーも詩的で素敵ですが

夏の宵に行きかう街の人々は汗臭くないのかしら

それに、やっぱりこのヒトが

「国産カッピーの香と共に来る」のはおかしくないのか

それとも、洋装にマッチする香りを強調したいのか

当時の匂いだけは、伝わりようがないので想像するのみ!

 

今回は、プログラムじゃなかったけど

楽譜もケッコーもオモシロイ 

 

2018年12月20日到着(400)

 

令和2年9月27日追記

この機会に太宰治の『斜陽』を読んでみた

f:id:derbinglejp:20200927135318j:plain

中編小説だけれども大きな活字シリーズで読むと2分冊

お目当ての「愛人」と言う言葉は下巻になってようやく

記述はこんな感じ

斜陽の貴族が、お妾と言う言葉を使いたくなくて愛人

と言ってみたところで、内実一緒だと言うことを手紙の中で書いている1回限り

これだけの文章で、今日の使われ方?

太宰恐るべし