「映画之友・8月號・映画主題歌楽譜・NO・21」(昭和11年)
雑誌「映画之友」の中綴じ付録ですが、ヤフオクで購入した時には、これのみ
その分安く、嵩張らないとイイこと尽くし
さて、戦前モノなので横書きは右から左へ
「歌に合せて踊らうよ」
主演は、アーステア
アステーアならたまに見かけますが、アーはなんだか間延びしてる感じ
訳詞をするのは、昔の映画字幕は常にこのヒトだった清水俊二
少し起してみると
♪ 苦労あるとて 月のある間は
愛人と二人 唄へや踊れ
鳴るヴァイオリン 流れゆくメロディ
踊れるうちに 唄へや踊れ
と、意味は通るんだけれど
メロディが全然浮かんでこない
これだけでは、口ずさめないと
楽譜のある中面を
ついでにCDかけて英詞付きの楽譜見て
ようやく
あ~こうか
英語と比較すると、訳としては完璧じゃないでしょうか
でも、歌えなーい
日本語が乗りやすい曲、乗りにくい曲ってあるかもしれません
訳詞中、気になるのは
「愛人」と書いて「きみ」と読ませている部分
映画にも歌にも不倫の要素なし
ということは、昔の「愛人」は、愛するヒト、愛しい人ってくらいで
ネガティブ要素はないのか?
チョロっと調べると、太宰が1947年に斜陽を書くまでは良い意味だったとのこと
ナルホド
裏面には、「国産」なのに外国の令夫人をイメージガールにした香水の広告
コピーも詩的で素敵ですが
夏の宵に行きかう街の人々は汗臭くないのかしら
それに、やっぱりこのヒトが
「国産カッピーの香と共に来る」のはおかしくないのか
それとも、洋装にマッチする香りを強調したいのか
当時の匂いだけは、伝わりようがないので想像するのみ!
今回は、プログラムじゃなかったけど
楽譜もケッコーもオモシロイ
2018年12月20日到着(400)
令和2年9月27日追記
この機会に太宰治の『斜陽』を読んでみた
中編小説だけれども大きな活字シリーズで読むと2分冊
お目当ての「愛人」と言う言葉は下巻になってようやく
記述はこんな感じ
斜陽の貴族が、お妾と言う言葉を使いたくなくて愛人
と言ってみたところで、内実一緒だと言うことを手紙の中で書いている1回限り
これだけの文章で、今日の使われ方?
太宰恐るべし