瓶具黒墨の映画はプログラムがオモシロイ!

ビング・クロスビー映画のプログラムを中心に関連グッズをアップしていきます

【映画館ニュース】ワイキキの結婚(ギンザ・ゼンセンザ)

映画見たのは夏

もう半年じゃないか!

 

昭和13年7月7日から7月13日上映は銀座全線座

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ギンザ ゼンセンザ №14

 印 刷:記載無し 発 行:昭和13年7月7日

 編集人兼発行人兼印刷人:豊田晴雄

 印刷所:共同印刷株式会社

 発行所:博龍館印刷所

 サイズ:三つ折り 6ページ

 定 価:表示なし

 

銀座全線座は1938年4月開館と3か月前

オーナーは表紙にもある樋口大輔活動弁士

戦後の表紙イラストが印象的な藤城清治は戦後昭和22年の入社

 

中面を見ると

『ワイキキの結婚』は近代音楽映画週間の1本として上映中

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戦前のプログラムに載ってるのはラストシーンまでバッチリの梗概

そんなプログラムばっかりだったけど

今回のはチガウ

 

 

カナカ土人と聞き慣れない言葉からスタート

(太平洋諸島の島々の住民を一般的に呼ぶ俗称をカナカ族とある)

そして、ハワイアン音楽の説明につながるが

コレがまた粋だ

書きだしてみると

そのエキゾティックの旋律を以て、新大陸に一大衝動を興し、忽ち楽団の寵児となり、当時非常な勢いを持って勃興してきたジャズ音楽と結合して、ここに新しいハワイアン・ミュージックのスタイルを作り上げたのです。フラ娘のたしなむ蠱惑の歌、すすり泣くかの如きギターの旋律、全くハワイアンミュージックの持つエキゾチックな哀傷位人のどこかに潜んでいるプリミティブな感情の銀線に触れて、心地よく慰めてくれるものはありません・・・・

そして、この素敵なハワイアン・ミュージックとハワイを舞台にしたことで

「これによってビング・クロスビイ映画のマンネリズムからも脱し得て居るのである」

と辛辣だ

まあ、今回の映画が良いよ

ということを言ってるのであって

「ブルウ・ハワイ」が特に良いと褒めている

 

フレッド・マクマレイが楽団出身と記載のある

『シヤムパン・ワルツ』も同じ論調

「チューインガムの感傷などアメリカ好みの好もしさを示し」と

何を言ってるのか?

映画を見たら分かるのか?

当時のリアルタイムの感覚は興味深いもの

 

 

横の囲みには、そのチューインガムを御捨てになる時の御願ひがある

 

休憩演奏の「フランス五重奏団」はジャンゴなのか?

戦前から発売されてたのか?

 

当館から10秒にある純喫茶店デュエットは「〒局横」って書くのか!

そして、「ブルウ・ハワイ」は「メロディのみ」とキッチリ断わり書き

 

上には次週予告

『米国の機密室』には「スパイ」というコトバ

戦前でも間諜じゃないんだ

 

そしてこの時代にも「完全冷房」

全くもって「!」と「?」のオンパレード

 

 

広告もイチイチ凄い

まあ、ヨクヨク見るからなんだけど

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「舌の冷凍 夏の陣」に始まり

夏しることあんクリームまでは想像できるけど

あんソーダってなんだろう

21世紀人は 知らざりき

 

見過ごしてしまいそうな広告責任者って?

月ケ瀬の責任者?それともこのプログラムの?

 

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さて、最後のページ

チャイナ・タウン

上海航路のチェーン店?

まあ、銀座人が最高の興味を持つ異国ムード漂う喫茶店なんだろうけど

昔の最先端は尖ってたんですね

紐育ならルビなしが、支那町にはルビを振らないとならないくらいの浸透度?

 

と、なんだかツッコミどころ満載だったけど

批評的な文面も含めて

トガッタ客層のイメージに

 

2018/6/28 ヤフオク(1000・120)

 

 

令和5年3月追記

『ニッポン エロ・グロ・ナンセンス』(毛利眞人著)を読んでいると

1930年では尖端

川端康成の『浅草紅團』が引き金(P.80)

図書館にあったけど、これは数ページで放棄

1931年発行 新潮社の『現代猟奇先端図鑑』なる本では

27ページも尖端に割かれているらしい

そもそもタイトルが尖端だ

というわけで、1930年代のニッポンは尖端

プログラム自体は30年代の終わりに近づいているけどね